歯磨きはいつすればいいの?

原則的には、「食べた後、すぐ磨く」です。 
一般的に歯科医院で、大人の方に歯磨き指導する場合、
「3度、3度の食事の後、必す歯を磨いて下さい」
というのが通例です。
これをお子さんに適用すると、
「お子さんが食事を済ませた後、30分以内にお母さんが歯磨きをしてあげてください」
ということになります。
もっと、理想的なことをいうと
「食事でもおやつでも、食べた後はすぐお母さん・お父さんが歯磨きをしてあげる」
ということです。
これが歯磨きの理想です。
これができる方は是非そうしてください。

「冗談じゃない。わたしは仕事を持っているし、どこにそんなヒマがあるの? それに実際子供が毎回素直に歯を磨かせてくれるわけないじゃない!!!」

というお叱りの声が聞こえてきそうです。
そのとおりだと思います。
じゃあ、どうすればいいんでしょう?

夜一回で結構です
夜寝る前にきちんと磨いてやって下さい。
よくいわれている「寝る前の仕上げ磨き」です。
極力、寝る前にしてください。
「虫歯の原因にはどんなものがあるの?」のページで、「虫歯予防のポイントは『甘いものが口のなかにある時間をいかに短くするか』ということだ」と書きました。
この観点からいっても一番効果的なのが夜寝る前のブラッシングだからです。

 

どこで磨くの?

「寝る前の仕上げ磨き」をよく風呂場とか洗面所で、お子さんと向い合って立つたままでおこなうお母さん・お父さんがいらっしゃいますが、これは止めてください。
立ったままでは上の歯に光があたらず奥歯は暗くてよく見えないはずです。
フトンの上でも結構です。
家のなかの一番明るい場所で、お子さんを横にして、仕上げ磨きをする人が上下の歯のよく見える状態で磨いてあげてください。

 

では、3度、3度の食事の後はどうすればいいの?

これは、お子さん自身に歯磨きをさせてください。
でもこれは歯がきちんと磨けていることを期待しているのではありません。
歯磨きの習慣を付けるためにやっていると思って下さい。
実際にはお子さん-人では、ほとんど磨けません。
実際に歯を磨くのはお母さん・お父さんの仕事です。

 

仕上げ磨きはしなくちゃいけないの?

仕上げ磨きは、かならず毎晩おこなってください。
お子さんの歯磨きでは、ほとんど磨けていません。小学校に入ってもほとんど磨けません。
それどころか小学校高学年でもあまり上手には磨けていないのが実情です。
さらにいいますと成人でも子供と較べてそれほどきれいに磨けているわけではないのです。
ですから、お子さん自身の歯磨きは歯磨きの習性付けにおこなっているのであり、きれいにみがけるようになるまでは「実際に歯を磨くのはお母さん・お父さんの仕事」と割り切ってください。

 

夜寝る前の仕上げ磨きはいつまでしなくちゃいけないの?

子供がさせてくれるまで、ずっと続けてください。
そんなことをしていると自立心がつかなくなるのじゃあないかと心配されるかたもいらっしゃるかもしれませんが、そんな心配をしなくても、お子さんはすぐにどんなことを言ってもさせてくれなくなります。
小学校に上がる前まできちっと仕上げ磨きを続けてできているお母さん・お父さんは比較的小数です。
小学校に上がったからもうひとりでだいじょうぶと勝手に判断されて、気付いてみれば虫歯だらけというケースが結構あります。
「寝る前の仕上げ磨き」は親子の貴重なスキンシップと思ってがんばって続けてください。

 

どこを磨くの?

歯のどこを磨いたらいいかということは、じつは、人によって異なっています。

歯垢が溜まる場所が歯の形態や歯並びよって違っているからです。
また、「磨きぐせ」があるために、ある歯はピカピカに磨けているけれど、別の歯は全然歯ブラシがあたっていないというようなことがおこります。
ですから、「歯磨き指導」は、歯科衛生士に直接口の内をチェックしてもらって個別におこなうのがベストです。ただ、子供の歯列(乳歯列)は、磨きにくい場所が比較的同じてあることが多いようです。
上のあごでは奥歯の外側(頬側)、下のあごでは奥歯の内側(舌側)です。
この部位はほっぺや舌が邪魔をするためになかなか磨きにくい部位です。
この場所を意識して重点的に磨くようにしてください。

 

どんな歯ブラシを使ったらいいの?

どんな歯ブラシでも結横です。
お母さんが最も磨きやすい歯ブラシが一番です。
最近歯ブラシにはいろいろな種類があります。
子供用にも、年齢とか歯列の状態で分類されたいろいろなものがあります。
この使い分けはあまり厳密におこなう必要はありません。
お母さんが磨きやすくて使いやすいと思われた歯ブラシが-番です。
一般的には毛のはえている頭部が小さい方が良いといわれています。
そのせいか大人のひとが子供用の歯ブラシを使って自分の歯を磨いてみると、意外とうまく磨ける場合があります。

 

どう磨いたらいいの?

同じタイプの歯ブラシを、子供用とお母さん・お父さんの仕上げ磨き用の2つ用意して下さい。
これはどうしてかというと、子供に磨かせますと、すぐ歯ブラシを噛んで2,3日で毛先をだめにしてしまうからです。
歯ブラシの頭部を裏から見て表の毛先が見えるようですともうと使い物になりません。
こういう歯ブラシは子供用にしてください。
仕上げ磨き用には別の毛の真っ直ぐしたものを使用してください。
歯ブラシは毛先が一番重要なのです。
歯を実際に磨く場合も歯ブラシを強く動かしてもあまり効果的には磨けません。
毛先を使って軽い力で磨けばよいのです。
毛先で歯垢をかき出すような感覚で磨いてください。

 

歯磨き剤は使わないほうが良いの?

通常、子供の歯磨きでは歯磨き剤は使う必要はありません。
きちんと磨けない子では使わない方がいいと思います。
従来型の歯磨き剤の中には「発泡剤」や「香味剤」が入っているからです。
「発泡剤」は泡立つために歯が見えなくなり磨いたところと磨いてないところとが区別がつきにくくなります。
また、「香味剤」が入っていることによって充分磨けてなくても口のなかがスツキリとした感じになるので磨けたと思い違いをしてしまうからです。
ただ、最近の歯磨き剤には、これらが入っていないものも多くなりました。
また、「フッ素」や「キシリトール」がはいっているものもあります。
これらをきれいな歯面に塗布すると虫歯の予防効果があります。
歯をきれいに磨いた後、こういった新しいタイプの歯磨き剤を歯ブラシに少しつけて、上下左右の歯に万遍に塗布するとかなり有効です。
上手にご利用ください。

 

うちでは寝る前にお布団の上で歯磨きをするんですが、ときどき子供がうがいをしないでそのまま寝てしまいます。だいじょうぶでしょうか?

 原則としては、歯磨きの後はうがいをして口の中を洗い流してください。
最初に来院されたときに「虫歯の話」で説明させていただきましたが歯垢は細菌の塊です。
歯磨きすることによって歯にへばりついている歯垢を剥がしたわけですから、うがいをすることによって、これを洗い流すことができ口の中の細菌を劇的に減らすことができます。
できるならそうしてください。そうしたほうがいいに決まっています。

 でも、お布団の上で歯磨きした後、わざわざ洗面台へいってうがいをするって面倒ですよね。
こういう場合、(けっして薦めているわけではありませんが)そのまま寝てもそれほど問題はありません。
それでは、歯磨きすることによって歯から剥がれた膨大な数の細菌はどうなるのでしょうか? 
実は、唾といっしょに飲み込んでいるのです。

「なんですって!」という大きな声が聞こえてきそうですが、そんなにびっくりすることでもないのです。
実は私たちは信じられないくらいの多くの数の細菌を毎日毎日絶え間なく飲みこんでいるのです。
右のグラフを見てください。(ちょっとめんどくさそうに見えますが簡単なグラフなのでご容赦ください。)

その差だけ食べ物と一緒に飲みこんでいるわけです。
そして、少なくなった細菌は舌や歯茎にある歯垢から絶えず唾液中に溶け出してきて増殖してすぐにもとの数に戻ります。
また、何も食べていないときでも、つばを飲み込むたびに常に多量の細菌を飲み込んでいるわけです。
たった1mlだけでも、これだけの細菌を飲みこんでいるのですから、1日では本当に膨大な数の細菌を飲みこんでいるわけです。
ですから、歯磨き後、そのまま寝てしまったとしても、それほど問題はないわけですね。
(くどいようですが、決して薦めているわけではありません。)

これは口の中の唾液1mlに含まれる細菌が一日のうちでどれくらい増えたり減ったりしているかを表したものです。
縦軸は唾液1ml中に含まれる細菌の数を、横軸は一日の時刻を表しています。
朝起きたときには朝食前で唾液1ml中に9000万個もいます。
また昼食前や夕食前には5000万個いるのですが、どういうわけか食後には1000万個にまで減ってしまいます。どこへ消えたのでしょう?

お解りですね。

子供の歯磨きはどうするの?
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このページの内容は、医療法人かわはら矯正歯科・小児歯科で配布している「お口の健康の話 - 歯磨き」の内容を再編集したものです。