おなかの中にいる赤ちゃん(胎児)は無菌状態ですが、出産時に産道を通る間に、まずお母さんの持っている菌(常在菌)に感染します。
そして他の家族と接触することによってもいろいろな菌に感染します。
これらの細菌は、(私たちの体にとって)「よい菌」「普通の菌(常在菌)」「悪い菌(病原菌)」に分類されます。
そのなかで、私たちの体は非常に多くの「普通の菌(少数では体に無害な常在菌)」によって表面を覆われています。
これによって、病原菌が体に侵入してくるのを防いでいます。
実は、私たちは常在菌によって、外敵から体を守られているわけなのです。
よく「虫歯の原因はバイ菌なのだから抗生物質か何かですべて殺してしまえばいい」
という意見を耳にします。
でも、もともと口の中は細菌だらけです。
口の中の細菌をすべてなくすことなんてできません。
また、もし強い薬を使用して口の中の細菌を全部殺してしまうことができたとしても、今度は逆に「悪い菌」が繁殖してしまう危険性がおこってきます。

それでは、何が問題なのでしょうか?
それは細菌の数です。
たとえ体中を覆っている(通常は何もしない)常在細菌といっても、さすがに目で見えるくらいまで異常な数に増えてしまったら(歯を溶かすという)問題を起こしてくるということなのです。
ですから、歯磨きをするということは、(細菌学的に言うと)目で見えるぐらいに多量に増えた細菌の塊である歯垢を目で見えないぐらいの数に減らすということなのです。

繰り返しになりますが、少量の細菌が移る「口移し」は決して衛生的であるとはいえませんが、口腔のケアが充分なされている人なら、目くじらを立てて禁止するようなことでもない、むしろ愛すべき愛情表現だと考えていいのではないでしょうか。

「『口移し』って、口の中にいる細菌を移してしまうので、してはいけないですよね!」
また、これと関連して、
「おじいちゃん、おばあちゃんが口移しで孫に食べ物を与えるので困っている」
というご質問をおうけすることがあります。
「口移し」がよくないのではないかという意味だと思います。
こういう問いかけを時々おかあさんがたから受けることがあるのでこれについてお話してみようと思います。

意外と思われるかもしれませんが、
私は「口移し」はそれほど悪いことだとは思っていません。
むしろ場合によってはすばらしい愛情表現だと思っています。
「でも細菌が移るのではないか」とお思いでしょう。
そのとおりです。
確実に移ります。
しかし実は、細菌は「口移し」をしなくても移ります。
日常、一緒に生活していれば必ず移ってしまうのです。
『口移し』って、口の中の細菌を移すので、良くないですよね?
島根県松江市の小児歯科に特化した歯科医院
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このページの内容は、医療法人かわはら矯正歯科・小児歯科で配布している「お口の健康の話 - 口移し」の内容を再編集したものです。