2.時間

それでも、甘いものをたくさん食べても、虫歯にならない子がいます。
逆に「うちの子は甘いものをあまり食べていないんですけれど虫歯だらけです」という子もいます。

この甘いものをたくさん食べてもあまり虫歯になっていない子に食習慣について詳しく聞いてみると、「食べてすぐお茶を飲む」、あるいは「食べてすぐ歯を磨く」という習慣があるようです。
反対に甘いものをあまり食べていないんですけれど虫歯だらけという子について同じ様に食習慣について聞いてみると、「寝る前に食べている」「寝る前に飲んでいる」ということが多い様です。
この違いが虫歯の発生に大きく影響してきます。

では、どうしてこういう違いがでてくるのでしょうか?

甘いものを食べたとします。
すると、すぐ口のなかのミユータンス菌もよろこんでその甘いものを食べます。
10分もしないうちに歯を溶かす酸を出してきます。
しかし、このときにお茶を飲む、あるいは歯を磨くことによって、出てきた酸や口に残っている甘いものを洗い流してしまうと、いくらたくさん甘いものを食べようと虫歯の発生源自体をなくしてしまうんですから虫歯になりようがありません。

つぎに「寝る前に食べた」「寝る前に飲んだ」場合を考えます。
同じ様にミユータンス菌がすぐ酸を作って歯を溶かしだします。
通常、子供の睡眠時間は8時間以上ですから1日の1/3以上になります。
ですから、寝る前に甘いものを食べて(飲んで)そのまま寝てしまいますと、1日の1/3以上の間、歯と酸がくっついて歯をずっと溶かしている状態のままにあるということになります。
これでは、甘いものを少量しか食べなくても確実に虫歯になります。

つまり、虫歯予防のためには「甘いものは食べさすな」ということではないのです。
現代に生きている子供たちが甘いものを-切食べないなんて不可能です。
そんな非現実的なことをいうつもりは毛頭ありません。
虫歯予防のポイントは「甘いものが口のなかにある時間をいかに短くするか」ということなのです。

 

3.歯自体の問題

つぎは歯自体に問題がある場合です。
「歯の質」と「歯の形」と「歯の並び」の3つが問題となってきます。
残念ですが、「歯の質が弱い」という方はいらっしゃいます。
私たちが口の中をチェックしてみても、本当に一所懸命に歯の手入れをしていらっしゃるのですが、どういうわけか虫歯ができてしまうという場合です。
本当に気の毒だと思います。
この原因は、歯の周りを覆っているエナメル質という硬い層の石灰化が悪いためです。
これを改善するためには、フツ素を定期的に使用することによって、少しではありますが歯の表面のエナメル質を強くすることができます。

つぎに、「歯の形」ですが、これは複雑であれば複雑であるほど虫歯になりやすくなります。
とくに、上の歯と下の歯が噛みあう部分(咬合面)が問題となります。
この咬合面は複雑な形態ほど食物が効率よくすり潰されるという可能性が大きくなりますが、逆にこの部位に食物が入り込んでしまうという可能性も大きくなります。
歯の溝は深ければ深いほど歯ブラシの毛先が届きにくく虫歯になりやすいというわけです。
(溝を浅くするシーラントという予防方法がこういう虫歯に対して有効です。)

「歯並び」も虫歯の発生に関連があります。
歯並びが悪ければ悪いほど歯磨きがしにくいため、虫歯になりやすいという統計データがあります。
ただ、一般的には乳歯だけの歯列(乳歯列)では歯と歯の間に充分な隙間があり歯の並び自体も比較的きれいなため、この時期に「歯並び」が原因でおこる虫歯は比較的少ないようです。

 

4.細菌

細菌は、虫歯の原因のなかで一番重要かつ問題となるものです。
口の中は、細菌の巣といってもいいような場所です。
この細菌は「歯垢」のなかに非常にたくさん存在します。
実は、歯垢の80%は細菌そのものです。口の中は手や足よりも遥かに(文字どおり桁違いに)数多くの細菌が繁殖している場所です。
口の中は次の様な環境です。

1.湿度が充分にある
2.温度がほぼ一定である
3.細菌にとって充分な食べ物がある
4.適度に暗い

これらの環境条件は、細菌が繁殖するのに最適のものです。
この細菌の中で、ストレプトコッカス・ミュータンスという名前の細菌が虫歯の原因菌です。
テレビや雑誌等で、「ミュータンス菌」「虫歯菌」といわれているものですが、このミュータンス菌にも活発なものとそうでないものがいます。
このことが、虫歯になりやすいか、または、なりにくいかと関連があるといわれています。
虫歯は、細菌が原因で起こるのですから、当然、「細菌に感染する・細菌が移る」ことによって発生するわけです。
その一番の感染源は一般的にはお母さんです。
お母さんのお口の中にいるミュータンス菌がお子さんに感染する・移るわけです。
ミュータンス菌の50%はお母さんから、30%はお父さんから感染するといわれています。
ですから、お母さんが虫歯になりやすい方はお子さんも虫歯になりやすいという傾向があります。

虫歯は、いままでお話しした4つの原因が絡みあって起こる病気です。
これらの原因のうちで特定の1つが主因かもしれませんし、幾つかが組みあわさって複合的に起こるのかも知れません。
これはお子さんの日常生活を把握しているお母さん・お父さんや家族の方しか解らないことです。
虫歯を予防するためには、この4つの原因をひとつひとつチェックしてみるといいと思います。

 

 「何だ、おおげさなことをいってこんなことか」とお思いでしょう。
でも、これが、意外に重要なのです。
特に「時間」、これが虫歯予防のキーポイントです。
それではそれぞれについて説明します。

1.糖分

虫歯の第一の原因は炭水化物を含む糖分です。
特に砂糖です。
ほとんどのお子さんは甘いものが好きだと思います。
いまの時代、甘いものが好きでないというお子さんを探すほうが難しい状態です。
しかし、どうして甘いものが歯に悪いのでしょうか?

それは、甘いものが虫歯の原因菌といわれているミユータンス薗の食べ物だからです。

お子さんが甘いものを食べたとします。
するとすぐ、お口のなかにいるミユータンス菌などがその甘い物を食べます。
すると、あっという間に、これらの菌が糖を代謝してその排泄物(おしっこ、うんこ)として、酸(おもに乳酸)をロの中に出してきます。
この酸が歯に接触して歯を溶かしていく------これが虫歯です。

ですから、意外でしょうが、歯の中で「虫歯のなりかけ」の場所は、歯が黒くなったり茶色くなったり穴があいたりするのではなく、白っぽくなります。
歯の一部がチョークのような透明感のない白色になったら、これは虫歯のなりかけですので注意してください(写真参照:歯茎の白い部分に注意してください。これが虫歯のなりかけの状態です)。

このままの状態を続けていると、この表面の凸凹が酸によってさらに深くなります。
この一番深いところへ茶色いものが付着すると歯の色が茶色に、黒いものが貯まると黒く変色してくるのです。

くどいようですが、虫歯のなりかけというのは、歯は黒くなったり、茶色くなったりするのではなく、歯が白くなるということを憶えておいてください。

まずは、虫歯の原因についてのお話です。
よく「虫歯の原因は4つある」といわれています。
その4つについて説明します。

1.糖分
2.時間
3.歯自体の問題
4.細菌

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このページの内容は、医療法人かわはら矯正歯科・小児歯科で配布している「お口の健康の話 - 虫歯の原因」の内容を再編集したものです。